人妻の歴史

人妻に歴史も何もないんじゃないかとお思いかもしれません。
一つの教養として知っておいて損はないと思います。
意味としては結婚している女性で、夫以外の者から呼ばれる呼び名です。

古くは万葉集の時代にさかのぼります。
天武天皇が額田王に贈った和歌にも詠われています。
1300年近く前から使われているという歴史ある言葉なんです。

それほど古い言葉となると、現在とその時代では言葉が持つ意味が若干変わっていたり、全く違うものになっているのは珍しくありません。
しかし、当時も今と同じように『他人の妻』であり、なおかつ奪い取る対象としての女性を意味しています。

額田王と天武天皇の相聞歌

『あかねさす 紫野行き 標野行き
   野守は見ずや 君が袖振る』

現代語訳すると、
『皇族以外立ち入り禁止の野に入ってきて
   天智天皇が見ていないのですか、あなたが袖を振るのを』

『紫草の にほへる妹を 憎くあらば
   人妻ゆゑに われ恋ひめやも』

現代語訳すると、
『紫草のように美しく愛する妹よ、あなたが憎いわけなどあろうか
   もし憎かったとすれば、人妻と知りながら、これほど恋焦がれたりするものだろうか』

妹というのは兄弟姉妹のことではなく、男性が愛している女性のことです。
既に他人の妻でありながらも、その額田王の美しさに惹かれてしまったことを伝えているのです。

それほど人妻というのは魅力的に映る対象だったのでしょう。
ちなみに額田王の前の夫が大海人皇子(後の天武天皇)です。当時の夫は天智天皇です。

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